映画 素晴らしき哉、人生

Star Wars 1313 Aug 3映画Tシャツが好きで、映画Tシャツをたくさん集めています。
映画の中では素晴らしき哉、人生が好きです。

これほど長い時間をかけてクラシックに育っていった映画も珍しいだろう。いまやアメリカでは、クリスマスのテレビ放映の定番となっている国民的映画だが、46年の公開当時は興行的に大コケし、アカデミー賞も無冠に終わったことはよく知られている。日本でもキネマ旬報ベストーテン(54年度)ではひとりしか投票しておらず、第35位と実に残念な結果。リアルタイムでは驚くほど凡作扱いされていたわけだ。
 とはいえ実際、確かにこの映画は、プランターキャプラ監督の名作群の中でも何か別枠的な1本に思える。
彼の才気に最も脂が乗っていた30年代のコロンビア作品『或る夜のキャロル』を変奏したようなストーリーが甘く見られたのかもしれない。
だが本作に充満しているのは特別なエネルギーだ。それは終盤、ジェームズ・スチュアートが全身で表す爆発的な喜びのテンションに集約されて大噴出する。
 伯父が会社の大事な金を失くし、ドツボにハマつた主人公ジョージが自殺の衝動に取り憑かれるが、翼のない天使クラレンスの導きで。人生出来事 オペラハット スミス都へ行くほど、演出にキレがあるわけではない。同時代の人には「旬が過ぎた」と判断されたのかもしれない。
あるいはディケンズのクリスマス自分がはじめから存在しなかった世界を体験する。その悪夢から覚めたあと、彼の目に映る見慣れたはずの日常世界は一変。周りのすべてに「メリークリスマス」と叫びながら走っていくジョージの姿には、。生きてるだけで丸儲けという根っ子からの肯定感がみなぎっているのだ。この「人生最悪の日」からの突破までを描く後半30分ほどの展開が、ヘコんだ心にすごく良く効く。具体的に我々を厭世や絶望から救う力が、この映画には備わっているのである。
 そのクライマックスに至る長い前フリ(とあえて言ってしまおう)で示されるのは、ジョージという男のささやかな人生である。地元の小さな町に残って家族を築いた彼は、善良で、陽気で、英雄的な行為もするが、基本は市井の事情に葛藤しながら、時代に流されて生きるごく普通の人間だ。守護天使もコミカルなジイさんにしか見えない。そんなありふれた凡人でも、大勢の人生に影響を与え、自分の何気ない振る舞いが、誰かの未来を決定づけている…。とても素敵なメッセージそして網の目模様に伝わっていく巨大な影響力は、この映画自体にも言えるはず。もし素晴らしき哉、人生という1本がなかったら、その後の映画史はずいぶん寂しいものになっていただろう。